西尾維新「ニンギョウがニンギョウ」
大正モダンな雰囲気を出している文章と、全く現実感の無い表現。
さらに、「不思議の国のアリス」のように脈絡なく続く展開…。
登場する人物たちには、固有名詞が一つとして無く、顔の無いマーク・コスタビのポップアートのような世界を想像させる物語だった。
言葉の端々に微妙に、作者が崇拝してやまない作家たちの特徴となっている文字が散りばめられており、そんな些細な事に気づいてみたりしながら読み終わった。
これまでの作品とは全く異なる点は、人物名が無いことだろう。
戯言シリーズやりすかシリーズでの人物名の付け方は特徴的で、そこに姿勢を感じたのだが、今作はその特徴を完全に消して書かれていたのが興味深い。
元々、文学系に近いといわれていた西尾維新の作風がここへ来て、まさにそのものを書こうとしたという感じなのかな?と。
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