日日日「蟲と眼球とテディベア」

前半と後半の物語の主点がいつのまにかすり替わっていたような気がする。ホラーと書いたけれど、裏の簡単な解説ではファンタジーになるらしい。
確かに、ホラーではないよなぁ…。どこで聞き間違ったんだろ?(笑)
モチーフになっているのは、アダムとイヴの楽園追放のお話。
相変わらず異様なネーミングの登場人物たちだが、「狂乱シリーズ」や「アンダカ」とは違い、妙に落ち着いた感じを受けたのは、多分にフツーの恋愛をキャラがしていたからだろうね。
他の作品では、キャラの性格自体がトンデモな性格をしているのだけれど、この作品で登場するのは、意外と現実に近い(でも身近に居ることは、多分皆無な)設定だったので、そう感じたのかな?
去年の文芸賞ラッシュの最初の作品にして最後の刊行本という位置づけで、どうも難産だったようだね。
先に刊行された、作品群を読んでいるとちょっとインパクトに欠けるようだが、ほぼ後半の主役になっている眼球抉子(笑)のキャラ立ちで濃ゆさが維持されていた。
狂乱シリーズを読んでいて分かるのだが、主題がいつもシンプルだと思う。
イワユル、人間関係についてのお話なんだよね。
まあ、どんな物語でも人が出てくれば全て人間関係のお話なんだろうけれど、かなり分かりやすく書かれているので、気を緩めるとちょっと「そうだよね」とか、簡単な事に気付かされた感覚を味わせてくれる。

4840112738虫と眼球(めだま)とテディベア
日日日

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