「いま、会いにゆきます」

 今週末からの上演だったので日曜レイトと言えども、かなり込むかな?と思いきや、それほどでもなかった。まあ、そちらの方が良いのだが。一応、原作を読んでの鑑賞だったが、内容的には原作と違う意味でイマイチ(両方イマイチって事か…)。監督と脚本が原因のようだが、見ていてまず気になるのが、中村獅童。演技、それで良いのか!?監督!?と素直に思った。一番演技としてすんなり受け入れられたのは、子役の武井証くん。うるうるとキタのは、この子の絡むときだけかな…。竹内結子は、まあまあ良かったと。何気にYOUの小学校の教師役はめちゃハマリ役で、先日観た「誰も知らない」の母親役と同じように快(怪?)演でしたな。他には、最近良く見る小日向文世、何故か出ている松尾スズキ、ちょっと感じが変わったような市川美日子などなど。まあ、個人的に演技とか抜きで良かったのは、美山加恋ちゃんと「スィングガールズ」でドラムを演奏した豊島由佳梨ちゃんでしょ〜。豊島ちゃんは自転車こいでるだけだが、良かったねぇ〜(笑)。
 で、内容だが、う〜ん。原作からの想像でこのシーンをどう描く?みたいな所は上手かったし、映画オリジナルな部分(冒頭シーンとかケーキとか)の創り込みもなかなかだったが、ストーリー的に散漫な印象。あと、原作では大事に描かれていた「妻の不在」の描写がしっかりしてなかったので、「帰ってきた妻」(ウルトラマンみたいだな…)がイマイチ日常の中で浮き彫りにされない。澪と巧の恋愛に焦点を置くか、根本的なストーリー(一応ネタバレなので書かない)に重点を置くのか、母子の心情に重点を置くのか…と、その場その場で中心になる点が変わるので、観ていて感情移入しにくい。一番素直に移入できるのが、佑司の出てくるシーンだったかな?このシーンだけ、竹内結子の演技は素晴らしかった(半分、素か?)。まあ、シナリオ的に巧に心を開くのは後半以降だから、その観点から観れば演技としてよいのだろうが、なんだかちょっと違和感が。恋愛モノは感情移入させてナンボだと想うので、その辺は残念かなぁ。
 技術的、映像的には良い出来栄え。セットの雰囲気は子供の視線から見た秘密の遊び場の雰囲気が廃工場にはあったし、雨の幻想的な場面とか、ありそうでなさそうな古い文化住宅風一戸建ての雰囲気や、澪が生前に残していった佑司の為の小道具なんかが、すんなりと受け入れられる良くまとまった舞台だった。
 これから観る方は、佑司くんを中心に観るのがお勧め。


いま、会いにゆきます
市川 拓司

おすすめ平均
見過ごている「幸福」に輝きを与える物語。
愛すると言う事。
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もう一本の「シークレットウィンドウ」は明日に延長。

さてさて、明日は何をする人ぞ?