森博嗣「カクレカラクリ」

カクレカラクリカクレカラクリ
森 博嗣

メディアファクトリー 2006-08
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やっと読了。
非常に森先生らしいというか「この1冊で作風がわかる」とどこかで仰ってた通り、好きそうなものや事柄、雰囲気が全て含まれていた。この本を原作としてTBSでドラマが放送されると。どうやらクランクアップはしたらしい。
森博嗣の要素がこれでもかという感じに満載でありながら、読みやすい雰囲気があり、森作品を初めて読むには良い出来だった。元々の読み手もにも今までの作品の雰囲気を踏襲した感覚は期待を裏切らない。
ここから下はネタバレっぽい記述です。読み終わってない方は、控えてくださいな。
非常に上手い具合にミスディレクションを誘うのは、郡司と栗城が目当てとしている廃工場と炭鉱跡が真っ先に目に付くところだろう。大掛かりな仕掛け=広大な炭鉱跡と想像するのは難くない。そこをあえて避け、尚且つ磯貝先生が初登場する水車小屋の方こそが近かったというはじめからの展開がすごい。
ところで、TBSのドラマ版と原作では登場人物の苗字が微妙に違う。真知家は花山家、山添家は風見家となっているところが注目どころ。原作で石碑に刻まれた記号と、磯貝家の地下にあった言葉とで解く暗号がわかりやすいように、苗字を変えているらしい。こればかりは2時間程度の放送の中で解けるか解けないかの微妙な線を演出するにはこういう方法しかないのかもね。ちなみに男性陣主役2人の苗字も一般的なものに変わっているのはご愛嬌かと。磯貝だけは「インキ」のとんち文字のからくりがあるので変えられなかったっぽいね。