「ローレライ」

キャスティングと監督と原作に惹かれて、鑑賞予定に入っていたヤツを漸く鑑賞。まあまあ面白かった。潜水艦モノって、あんまり好きではないが、これはそこそこ観られたかな?

全体の印象としては、役所浩司の一人勝ち。

キャスティングは、フジの売れっ子を集めた感じが否めないが、日本の映画俳優陣の量は貧弱だからね。ピエール瀧ががんばってたなぁ…(笑)ギバちゃんの役どころは、いつもどおりなアツイキャラで、それを考えると「やはり」というシーンが、満載で笑ってしまう。演技面が全体的に雑だったように思う。ギバちゃんを始めとして、キャラ立ちを意識してのセリフ回しなのかもしれないが、各キャラの背景を描けないのであれば、普通に喋らした方が良いのでは?と感じた。
 音楽的には、邪魔にならず良かった(笑)ちょうど前日に、「たけしの誰でもピカソ」(だったっけ?)でパウラが歌う「モーツァルトの子守唄」のオリジナル歌手ヘイリーが出ていたので、ちょっと気をつけて聞いていた。CD買いそう(笑)歌うシーンの映像が全くあっていない所は、ご愛嬌だね。
 パンフを鑑賞前に読んでいたら、作家の福井晴敏と監督の樋口真嗣の2人が共同で映画化を前提に書いた本だと初めて知った(笑)樋口監督というとどうしてもGAINAXを思い出してしまうが、庵野さんが画コンテで参加しているらしい。潜水艦モノで必ずやるだろうと思われる密室&見殺し(笑)「不思議の海のナディア」でもノーチラス号で一度やっているネタで、ついつい思い出してしまった。実際、アングルとか演出はその辺と根底が一緒なんだろうなぁと、思いながら観ていた。そこが多分僕が観てられた理由かも知れない。
 ストーリー的なものとしては、ちょっと薄い。話が特にあちこちへと飛ぶような事はなかったのだけど、何故かそれぞれの事件の印象が薄い。上映時間は気にならない内容があるにも拘らず、鑑賞後に心に残るものが、ラストの上川隆也だけになりかねないのはどこに原因があるのか、ちょっと不明。物語の焦点が、「軍部の陰謀」、「艦長の立場」、「秘匿兵器」、「パウラと折笠の恋愛模様」他色々でぼやけてしまった事が、因子の一つかも。
 一つだけ何も触れなかったのがおかしな点がある。海軍の習慣として世界共通の常識(現在はただのジンクスとして、一笑に伏すだろうと思うけど…)だが、船、特に軍艦に女性が乗るということは禁忌とされている。色々な理由、迷信にしても実際的な話としてもだろけど、軍艦に女性が乗っているという事が全く問題になっていなかったのはちょっと腑に落ちない。艦長や士官クラスならば、そういった迷信は語らないだろけど、一般の兵士たちは生きることに必死なのだから、少しでもリスクと思われる事は避けるハズなんだけどなぁ…。もしかしたら違うかも知れないし、潜水艦は大丈夫なのかもだけどね。

http://www.507.jp/index.html

今年公開される「亡国のイージス」と比較して観てみると、監督とキャストが違うとどう雰囲気が変わるかが分かるかもね。